論文誌

共有体験を通したメタ認知に対する複数視点映像の効果

Abstract

筆者らはこれまでに,複数視点で同一シーンを記録し,人の体験データを記録・解釈するシステムを提案してきた.本稿では,体験の記憶や追体験に対して,本システムがどのような効果があるのかを議論する.具体的には,自分の体験を語り,自分の認知を理解する「メタ認知」実験を題材にして,複数視点映像が追体験に与える効果を評価する.本稿では,大量の複数視点映像から個別の体験者に関係のある視点映像だけを自動的に切り出し,閲覧を可能にするツールをユーザに提供し,メタ認知記述を課した.その結果,体験直後のメタ認知記述作業には映像閲覧によるメタ認知記述の有意な増加が観察され,また,体験から半年経過した後のメタ認知記述作業においては他人の視点の映像が体験状況を理解するのに役立つことが確認された.

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Information

Book title

情報処理学会論文誌

Volume

49

Pages

1637-1647

Date of issue

2008/04/15

Citation

角 康之, 諏訪 正樹, 花植 康一, 西田 豊明, 片桐 恭弘, 間瀬 健二. 共有体験を通したメタ認知に対する複数視点映像の効果, 情報処理学会論文誌, Vol.49, No.4, pp.1637-1647, 2008.